専攻医研修マニュアル

上都賀総合病院内科専門研修プログラム
専攻医研修マニュアル

プログラムの理念
 本プログラムは、上都賀総合病院を基幹施設として栃木県西部医療圏や近隣医療圏の連携施設・特別連携施設が有機的に連結し、総合内科に重点を置いた実践的教育を行ない、幅広い医学知識と臨床技能を習得した上で、地域の医療事情を理解し、実情に合った医療を実践する、柔軟性の高い内科医を育成することを目標とする。

プログラムの特色
1) 本プログラムでは、栃木県西保険医療圏の中心的な急性期病院である上都賀総合病院を基幹施設として、栃木県西保険医療圏、近隣医療圏にある連携施設・特別連携施設における内科専門研修を経て、超高齢社会を迎えた我が国の医療事情を理解し、地域の実情に合わせた実践的な医療を行えるよう訓練されます。原則として、研修期間は基幹施設における2年間と、連携施設・特別連携施設における1年間です。
2) 入院から退院まで、主担当医として各症例を経験してもらいます。超急性期から安定期まで一貫して診療に従事し、患者の全身状態、社会的背景、療養環境調整まで考慮した全人的医療を実践します。個々の患者に最適な医療を包括的に提供するため、計画立案からその実行までの広範な能力の修得をもって目標への到達とします。
3) 基幹施設である上都賀総合病院は、栃木県西保険医療圏の中心的な急性期病院であり、地域の病診・病病連携の中核です。コモンディジーズはもちろん、高齢者に多い多数の疾患を合併した症例も多数経験できます。一方で県下有数の専門性を持った医師も在籍しているため、領域によってはきわめて希少な疾患の診療も経験できます。高次機能病院や地域病院との病病連携や診療所(在宅訪問診療施設などを含む)との病診連携も経験できます。
4) 日本内科学会内科専門医の認定条件として、基幹施設での2年間の研修で研修手帳(疾患群項目表)に定められた70疾患群のうち、少なくとも通算で45疾患群120症例以上を経験し,日本内科学会専攻医登録評価システムに登録することが必要です。さらに29症例の病歴要約を、専攻医2年修了時点で作成する必要があります。本プログラムでは、院内ローテート形式をとらず、上都賀総合病院内科に在籍した状態で、これらを登録・作成することが十分に可能です。
5) 専門研修3年目の1年間は、地域における立場や役割の異なる関連医療機関で研修を行うことによって、内科医としての多面的な素養を涵養します。
6) 日本内科学会内科専門医の認定条件として、基幹施設である上都賀総合病院での2年間と専門研修施設群での1年間(専攻医3年修了時)で,研修手帳(疾患群項目表)に定められた70 疾患群のうち,少なくとも通算で56疾患群,160症例以上を経験し,日本内科学会専攻医登録評価システム(仮称)に登録することが必要です。研修手帳(疾患群項目表)に定められた70疾患群200症例以上の経験を目標とします。上都賀総合病院と関連医療機関での3年間で、この目標は十分に達成可能です。

プログラムにおける待遇
基幹施設(上都賀総合病院):上都賀総合病院常勤医師の給与規定を以て待遇する。
関連施設:
済生会宇都宮病院
栃木県立がんセンター
NHO栃木医療センター

専門研修期間
専門研修期間は最短で3年間とする。ただし、年次ごとに定められた規定の修了基準を満足しない場合、延長を考慮する。

上都賀総合病院内科専門専門研修プログラム

各施設での研修期間
専門研修1年目の4月から専門研修2年目の3月にかけて、基幹施設(上都賀総合病院)で2年間研修する。
専門研修3年目の4月から専門研修3年目の3月にかけて関連施設で1年間研修する。
専門研修3年目の研修先は、専攻医の希望を第一とし、それまでの専攻医の経験症例や、今後の進路、および関連施設の状況を総合的に鑑みて、例年12月の内科臨床研修委員会で決定する。

各施設での研修内容
上都賀総合病院での専門研修1年目・2年目の具体的なスケジュールは以下の通りです。
担当する業務
総合内科外来:週1回担当する。
予約時間:午前845分から午前1130分 
初診受付:午前830分から午前1100
内科救急外来:午前もしくは午後の内科救急外来を週2回担当する。
午前:午前830分から午前1200
午後:午前1200分から午後0500
注:困難な症例、重症例、混雑時、入院適応症例の場合は遅滞なく内科統括当番(内科指導医クラスが担当)に報告し、応援や指示を受けること。
休日・夜間当番:週1回程度休日の日直あるいは夜間当直を担当する。
休日日直:午前0830分から午後0500
夜間当直:午後0500分から午前0830
病棟業務:指導医の指導のもと、常時1015名程度の病棟患者を担当する。
専門研修1年目:指導医が連日回診。処置は全て監督下で施行する。
専門研修2年目:指導医が週2回回診。処置は施行前に指導医に報告する。
注:担当症例は、内科統括当番(内科指導医クラスが担当)が各人の業務負荷やこれまでの担当症例を考慮して割り当てる。
注:内科学会に提出するサマリーは、退院時に指導医と協議して選定する。
検査業務:全ての領域の内科医に有益な検査として、以下の検査を各週1回担当する。
上部消化管内視鏡:月曜日・火曜日・木曜日・金曜日の午前中
腹部超音波断層検査:月曜日〜土曜日の午前中
心臓超音波断層検査:月曜日午前または金曜日午後
カンファレンス:内科専攻医はカンファレンスにて毎回各自1例以上を症例提示する。
内科カンファレンス:火曜日午後630分から午後800
糖尿病カンファレンス:月曜日午後300分から午後400
消化器カンファレンス:木曜日午後430分から午後530
呼吸器・膠原病カンファレンス:金曜日午後500分から午後700
注:内科カンファレンスでは、教育担当が30分程度のミニレクチャー、あるいは英語論文抄読会の当番を割り当てる。この他、月例CPCのプレゼンターも担当する。
専門研修3年目
済生会宇都宮病院
栃木県立がんセンター
NHO栃木医療センター

年次ごとの研修の目安
専門研修1年目修了基準
「研修手帳(疾患群項目表)」に定められた70疾患群のうち、少なくとも20疾患群60症例以上を経験し、日本内科学会専攻医登録評価システムに登録する。
病歴要約を10症例以上記載し、日本内科学会専攻医登録評価システムに登録する。
JMECCを受講する。
医療倫理・医療安全・感染防御に関する講習会を年2回以上受講する。
日本内科学会が実施しているセルフトレーニング問題に解答し、成績を提出する。
日本内科学会本部または支部主催の生涯教育講演会、年次講演会、CPCおよび内科系Subspecialty 学会の学術講演会・講習会に年2回以上参加する。参加証のコピーは上都賀総合病院内科臨床研修センターに提出すること。(通常、日本内科学会総会、日本内科学会関東地方支部学術集会を推奨する)

専門研修2年目修了基準
「研修手帳(疾患群項目表)」に定められた70疾患群のうち、少なくとも通算45疾患群120症例以上を経験し、日本内科学会専攻医登録評価システムに登録する。
病歴要約を29症例全て記載し、日本内科学会専攻医登録評価システムに登録する。
当院主催JMECCにアシスタントインストラクターとして参加する。
医療倫理・医療安全・感染防御に関する講習会を年2回以上受講する。
日本内科学会が実施しているセルフトレーニング問題に解答し、成績を提出する。
日本内科学会本部または支部主催の生涯教育講演会、年次講演会、CPCおよび内科系Subspecialty 学会の学術講演会・講習会に年2回以上参加する。参加証のコピーは上都賀総合病院内科臨床研修センターに提出すること。(通常、日本内科学会総会、日本内科学会関東地方支部学術集会を推奨する)
筆頭者として、1件以上の学会発表(通常、日本内科学会関東地方支部学術集会を推奨する)、あるいは論文発表を行なう。

専門研修(専攻医)3年:
「研修手帳(疾患群項目表)」に定められた70疾患群のうち、少なくとも通算56疾患群160症例以上を経験し、日本内科学会専攻医登録評価システムに登録する。
 ※ 外来症例は 1 割まで含むことができる。
専門研修2年次までに登録を終えた病歴要約について、日本内科学会病歴要約評価ボードによる査読を受け改訂する。
医療倫理・医療安全・感染防御に関する講習会を年2回以上受講する。
日本内科学会本部または支部主催の生涯教育講演会、年次講演会、CPCおよび内科系Subspecialty 学会の学術講演会・講習会に年2回以上参加する。参加証のコピーは上都賀総合病院内科臨床研修センターに提出すること。(通常、日本内科学会総会、日本内科学会関東地方支部学術集会を推奨する)
筆頭者として、1件以上の学会発表(通常、日本内科学会関東地方支部学術集会を推奨する)、あるいは論文発表を行なう。

専門研修全課程修了の要件
当該専攻医が下記修了要件を充足していることを確認し、研修期間修了約1か月前に上都賀総合病院内科専門医研修プログラム管理委員会で合議のうえ統括責任者が修了判定を行い、修了証を発行する。
1) すべての病歴要約 29 症例の受理
2) 少なくとも 70 疾患群中の56疾患群以上160症例以上の経験
3) 担当指導医の評価と承認。
4) メディカルスタッフによる360度評価と指導医による内科専攻医評価を参照し、社会人・医師としての適性を認められること。
5) JMECCの受講歴が1回以上ある。
6) 医療倫理・医療安全・感染防御に関する講習会の年2回以上の受講歴。
7) 日本内科学会本部または支部主催の生涯教育講演会、年次講演会、CPCおよび内科系Subspecialty 学会の学術講演会・講習会の年2回以上の参加履歴。
8) 筆頭者として、通算2件以上の学会発表、あるいは論文発表の実績。
 修得が不十分な場合、研修期間を1年単位で延長する。

上都賀総合病院診療科別診療実績
2014年実績
入院患者実数
(人/年)
外来延患者数
(延人数/年)
内科
94,406

197,320
専門領域における年間(20144月~20153月)の入院症例数(実数)
 
症例数
消化器
355
循環器
501
呼吸器
487
血液
26
神経
89
内分泌
11
代謝・糖尿病
138
アレルギー
1
膠原病
22
腎臓
63
感染症
106
合計
1799


評価
1. 自己評価
2. 指導医評価
3. 多職種による360度評価
4. フィードバック

継続したSubspecialty領域研修
カリキュラムの知識、技術・技能を修得した専攻医にはSubspecialty領域専門医取得に向けた知識、技術・技能研修を考慮する。各自の希望に沿って、各領域の専門的診療も追加して研修することが可能である。ただし、本プログラムの理念である総合内科に重点を置いた研修を阻害しない範疇に留めること。この一環として週1回の研修日を取得して社会人大学院を利用することも奨励する。この制度を利用することによって、プログラム修了後、円滑にSubspecialty領域の研修、学術研究活動に移行することが期待される。
専攻医がこれらの専門的診療の研修を追加する場合には、年度毎に以下の2項目を必須とする。
当院主催JMECCにアシスタントインストラクターとして参加する。
日本内科学会が実施しているセルフトレーニング問題に解答し、成績を提出する。


専門医申請にむけての手順
必要な書類
i)日本専門医機構が定める内科専門医認定申請書
ii)履歴書
iii)上都賀総合病院内科専門医研修プログラム修了証(コピー)
提出方法
内科専門医資格を申請する年度の5月末日までに日本専門医機構内科領域認定委員会に提出する。
内科専門医試験
内科専門医資格申請後に日本専門医機構が実施する「内科専門医試験」に合格することで、日本専門医機構が認定する「内科専門医」となる。

専門研修後の医師像
上都賀総合病院内科専門研修においては、どのような場所や立場におかれても社会貢献、自己研鑽を続けられる内科医を育成するように配慮する。修了後の進路としては、1)地域医療における内科医(かかりつけ医)、2)内科系救急医療の専門医、3)病院での総合内科専門医 4)総合内科的視点を持ったSubspecialist4者が想定できる。研修終了後はそれぞれのキャリア形成やライフステージによって、これらいずれかの形態に合致、あるいは兼務可能な人材に成長するよう期待する。

修了後の勤務先および勤務形態
研修修了後の進路は上都賀総合病院内科施設群専門研修施設群に限定しない。プログラム終了後には、専攻医の希望に応じた医療機関で常勤内科医師として勤務、または希望する大学院に進学することができる。最終年度にプログラム統括責任者と面談の上、希望者には推薦状を用意する。なお、プログラム修了後、上都賀総合病院内科、および関連施設において、Subspecialty領域の研修を継続することも歓迎する。

プログラムおよび指導内容の逆評価
プログラムのさらなる改良のため、専攻医は毎年8月と2月に日本内科学会専攻医登録評価システム(仮称)を用いて無記名式逆評価を行なう。集計結果は担当指導医,施設の研修委員会,およびプログラム管理委員会が閲覧し,集計結果に基づき,上都賀総合病院内科専門研修プログラムと指導医の指導技術の向上、あるいは研修環境改善の重要な参考とする。

問題発生時の相談先
研修施設群内で何らかの問題が発生し,施設群内で解決が困難な場合、日本専門医機構内科領域研修委員会を相談先とする。

内科専門研修プログラム管理委員会
上都賀総合病院内科専門研修プログラム管理委員会と委員名
上都賀総合病院
花岡 亮輔(プログラム統括責任者、委員長、リウマチ・膠原病・腎臓・血液分野責任者)
松村 美穂子(プログラム管理者,内分泌・代謝分野責任者)
吉住 博明(消化器内科分野責任者)
一戸 彰 (消化器内科分野担当)
近藤 裕子(消化器内科分野担当)
海宝 雄太(消化器内科分野担当)
桂田 健一(循環器内科分野責任者)
町田 安孝(呼吸器・アレルギー・感染症分野責任者)
黒本 和彦(臨床研修センター 事務局)

連携施設担当委員
済生会宇都宮病院 泉 学
栃木県立がんセンター 和泉 透
NHO栃木医療センター    上原 慶太

オブザーバー
内科専攻医代表中村 悠城
内科専攻医代表古田 友美

本プログラム指導医師名
花岡 亮輔(リウマチ・膠原病・腎臓・血液分野責任者)
海宝 雄太(消化器内科分野担当)

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